2010/06/26

古い街

ここに昔
華やかな街があり
歴史の教科書に出てくるような人々が住んでいたという記憶は
それこそ書籍の中と
高層ビルの隙間の裏路地の
もっとも軽薄な色合いの中にしか残っていない

初夏の銀色の太陽と
湿気をはらんで渦巻く大気を
胸に深く吸い込むとき
失われつつある今と直面する

すべての小径の夕闇は昏く

すべての小径の夕闇は昏く
夕陽の残照と
都市の放射するオレンジが混沌となり
夕闇の空が眼前に拡がる

すべての小径の夕闇は昏く
どの小径も
まさしくその小径

だから
君は立ち止まり
一握りの寂しさを感じて空を見上げる